青空文庫

「虫の声」の感想

虫の声

むしのこえ

初出:「中央公論 第五十一年第六號」1936(昭和11)年6月

永井荷風10

書き出し

東京の町に生れて、そして幾十年という長い月日をここに送った……。今日まで日々の生活について、何のめずらしさをも懐しさをも感じさせなかった物の音や物の色が、月日の過ぎゆくうちにいつともなく一ツ一ツ消去って、ついに二度とふたたび見ることも聞くこともできないということが、はっきり意識せられる時が来る。すると、ここに初めて綿々として尽きない情緒が湧起って来る——別れて後むかしの恋を思返すような心持である。

2024/01/09

鍋焼きうどんさんの感想

感覚を研ぎ澄ますと、普段五感で捉えられなかった自然の営みが恰も贈り物のように届いてくる。

2022/09/01

1f689a0a96cbさんの感想

YouTubeなどの映像表現に浸り込んで、文学作品から遠のいて久しいところ、偶然出会いました、この文豪の作品に触れ、なんとまあ映像よりも豊かな情景の甦る様に驚きました。

2022/08/27

19双之川喜41さんの感想

 蝉の 鳴きっぷりの くだりが 印象的である。彼方の 木の梢で 短く 一声鳴いて 黙ってしまうと 此方で 様子でも 窺うように 挨拶し合うように 別の 蝉が 鳴くとする。荷風の 並ならぬ 感性を 感じた。

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