きりん
初出:「新思潮 第四号」1910(明治43)年12月1日
書き出し
鳳兮。鳳兮。何徳之衰。往者不可諫。来者猶可追。已而。已而。今之従政者殆而。西暦紀元前四百九十三年。左丘明、孟軻、司馬遷等の記録によれば、魯の定公が十三年目の郊の祭を行われた春の始め、孔子は数人の弟子達を車の左右に従えて、其の故郷の魯の国から伝道の途に上った。泗水の河の畔には、芳草が青々と芽ぐみ、防山、尼丘、五峯の頂の雪は溶けても、沙漠の砂を掴んで来る匈奴のような北風は、いまだに烈しい冬の名残を吹き…