青空文庫

「雑居家族」の感想

雑居家族

ざっきょかぞく

初出:「毎日新聞」1955(昭和30)年3月25日~8月15日

壺井351

書き出し

序章この家のあるじは——といっても、同じ部屋の下に住む六人のあるじのうち、この場合は女房の安江のことになるが、彼女は腹が立ったときと、うれしいときとに花を買うという妙なくせがある。ぷいと家を出ていって、ゆきあたりばったり、いろんな花を買いこんでくるとき、それは腹を立てている証拠であった。金があってもなくても、ないときには花屋で借金してでも、とにかく花をかかえてもどらんことにはおさまらないらしい。そ

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