とうじミロン
初出:「新青年」1926(大正15)年9月号
書き出し
若くもなければ美人でもないあの女に、ミロンがどうしてあんなに惚せたのか、それは誰にもわからぬ謎であった。ミロンはそれ以来、親友にも疎くなり、始終彼を見かけた場所へも、ぱったり顔を見せなくなった。そればかりでなく、彼は芸術のためという真摯な態度を棄ててしまって、下らない糊口的の絵を描きだした。或るとき旧友の一人が彼を諫めた。「君は馬鹿だな、ミロン。君はこの頃下らん仕事ばかりやっているものだから、腕が…
うさぎ御前さんの感想
若い頃の自分の方が、馬鹿さ加減までひっくるめて大切なんだろうねえ…