青空文庫

「歳末の質屋」の感想

歳末の質屋

さいまつのしちや

都内に約一八〇〇店

とないにやくせんはっぴゃくてん

初出:「東京新聞」1954(昭和29)年12月16日

書き出し

歳末の質屋都内に約一八〇〇店山之口貘画家のK女史と記者のTさんとぼくとが、車に同乗。灯のついたばかりの師走の街のざわめきを縫って、城南のとある坂の上で車を止めた。ぼくらは坂の途中の電柱に掲げられている矢印の示す露地にはいった。「そろそろベレーなど、ポケットにおしこんでおきましょうかね。」するとTさんも、「そうだそうだ。」というわけで、ぼくとTさんは頭のベレーをポケットに移したのである。それはこの質

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