かいちょうのひびき
書き出し
毎朝二階の窓から東南の空を見ると、白く光る雲が遠い杉木立の上にもや/\湧き出てゐるのであつた。日の光はその雲の頂を照らして、いかにも輝かしいが、雲の下層は一様に平かに途切れて、下からは青色空が光を浮ばせ、青い光を照り返してゐる。あの雲の下あたりが、丁度東京湾の波の上であるまいか。房州通ひの船は、あの雲を仰ぎ見ながら走つて行くのではあるまいか。そんな事を思つてゐると、四五日前、横浜埠頭で送つたアメリ…