じせき
初出:「新青年」1924(大正13)年8月増刊号
書き出し
扉が開いたけれど、私は廊下に立ちどまってもじもじしていると、「此室でございます」私を迎えに来て其家まで案内してくれた婆さんが、こういって再び促したので、私は思いきって入って行った。室内はいやにうす暗くて、初めは低い蓋をかぶせたランプの外何も見えなかったが、だんだん眼が慣れて来るにしたがって、一箇の人影がぼんやりと壁にうつっているのを認めた。その影はじっとして動かなかった。何しろ痛ましく痩せおとろえ…
阿波のケンさん36さんの感想
頓智に富んだ話しだ。ある男を死刑に追い込んだ検事が後で無罪と気付き一生をかけて償いを決意しそれを当時の弁護士に託して死ぬ。しかし弁護士は死刑執行を前にしてその男は真犯人であることを打ち明けたという。