青空文庫

「それからそれ」の感想

それからそれ

それからそれ

書斎山岳文断片

しょさいさんがくぶんだんぺん

初出:「山 第一卷第七號」梓書房、1934(昭和9)年7月1日

宇野浩二13

書き出し

今年の三月上旬頃、井伏鱒二の『青ヶ島大概記』を読みながら(この小説は佳作である)、私は青ヶ島という言葉を何時かずっと前、何かで読んだことがあると思って、絶えずそれが気になった。その時は直ぐ思い出せなかったが、それから一月程後、ふと、そうだ、志賀重昂(矧川)の『日本風景論』書出の文句の中にあった、と思い出した。——「江山洵美是吾郷」〔大槻盤渓〕と、身世誰か吾郷の洵美を謂はざる者ある、青ヶ島や、南洋浩

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