南嶋を思いて
なんとうをおもいて
――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ――
――いはぶんがくしの『こりゅうきゅう』におよぶ――
初出:「芸文 第三年第七号」鶏聲堂書店、1912(明治45)年7月
新村出約19分
書き出し
文学博士新村出今春琉球に関する一、二の古本を読んでから南島を思う情が切になり来った矢先に、伊波君の『古琉球』と題する南国の色彩豊かな著述がしかもその国の人の手に由って贈られたのは異常に嬉しかった。森島中良の『琉球談』中に見える年中行事(むしろ歳時記)を読んだのは未だ寒い頃であったかと思う。□二月十二日、家々にて浚井し女子は井の水を汲んで額を洗ふ、如此すれば疾病を免るゝとなり、此月や土筆萌出、海棠・…
1 / 0