青空文庫

「秋風と母」の感想

秋風と母

あきかぜとはは

初出:「新小説」1926(大正15)年9月

尾崎士郎14

書き出し

昼少し過ぎてから母の容体が急に変ってきた。妻が呼びに来たので私が慌てて下の家へおりていったときには母は敷きっぱなしになっている小さい蒲団の上に身体をえびのように曲げてしゃがみ、絶えずいきむようなうめき声を立てながら苦痛に抵抗するために下腹部を烈しくよじらせていた。何時もの発作があらわれたのだ、妻は母のうしろから軽く背中を撫でおろしながら、「すぐ医者が来ますからね」と言った。しかし近所の医者を呼びに

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