青空文庫

「秋の第一日」の感想

秋の第一日

あきのだいいちにち

書き出し

土用は過ぎたが、盛夏の力は少しも衰へずに居る。直射する日光、白くかがやく雲の峯、上から圧しるやうに迫つて来る暑気、地の上のすべての物は、反抗する力も、脱れて行く法もなく、恣に振舞ふ威力の前に、ただ頸垂れて、悸いて居るだけである。日中は軽やかに声を立てる者も無い。何所を見ても、擾乱し困憊してゐて、その中に、一脈の静寂の気も漂つて居るのが感じられる。さういふ日、午後、思ひ懸けずも夕立が来た。久しく雨が

1 / 0