青空文庫

「学校騒動」の感想

学校騒動

がっこうそうどう

初出:「早稻田大學」文藝春秋新社、1953(昭和28)年10月20日

尾崎士郎90

書き出し

1その年(大正六年)、二十歳になったばかりの西方現助は、ある日の午後、寄宿舎の門を出て鶴巻町の大通りへぬけようとする曲り角で彼の先輩である東山松次郎に会った。東山は浴衣を着て両袖を肩にたくしあげている。彼は苦学力行の士であった。政治科在学中から「青年雄弁」という雑誌を経営し、自分でその社長になっている。小柄でいつも色艶のいい頬をしていた。——精悍で、キビキビしているだけに、素ばしっこく、ぬけ目のな

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