あせ
初出:「週刊朝日」1933(昭和8)年5月28日
書き出し
——お金が汗をかいたわ」河内屋の娘の浦子はそういって松崎の前に掌を開いて見せた。ローマを取巻く丘のように程のよい高さで盛り上る肉付きのまん中に一円銀貨の片面が少し曇って濡れていた。浦子はこどものときにひどい脳膜炎を患ったため白痴であった。十九にもなるのに六つ七つの年ごろの智恵しかなかった。しかし女の発達の力が頭へ向くのをやめて肉体一方にそそいだためか生れつきの美人の素質は息を吹き込んだように表面に…
いちにいさんの感想
読んだ。昔、確かに