青空文庫

「オペラの辻」の感想

オペラの辻

オペラのつじ

初出:「婦人サロン」1932(昭和7)年5月号

書き出し

巴里は世界の十字路といわれている。巴里の中でもブラス・ドゥ・オペラ(オペラの辻)は巴里の十字路といわれている。冬の日が暮れると神廟のようなオペラの建物は闇の中にいよいよ黒く静まり返える。オペラの開幕は八時だから今はまだその広い入口の敷石に衛戍の兵士が派手な制服で退屈な立番の足を踏み代えているだけである。その前にすぐ地下鉄の出入口が客を呑み吐きしている。オペラに向って左角がカフェ・ド・ユ・ラ・ペイユ

1 / 0