青空文庫

「ミス・マシュウの新職業」の感想

ミス・マシュウの新職業

ミス・マシュウのしんしょくぎょう

初出:「三田文学」1932(昭和7)年8月号

書き出し

ミス・マシュウが素人のままで女の媚が金に換る過程をはっきり掴めたのは父親が死んだその夜だ。父親はアルバート・ホールのオーケストラに出たことのある笛吹きだった。頽齢で楽団を辞職させられてから僅の年金では暮しに足りなくて音楽の家庭教師をした。その職業も有り無しなので娘も働きに出た。母親はマシュウが七つの時、仏蘭西から来た小唄うたいと駆落ちして行方が知れない。父親は死ぬとき娘にあの母親には盗癖があって、

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