青空文庫

「聖家族」の感想

聖家族

せいかぞく

初出:「文芸 第十一巻第三号」河出書房、1954(昭和29)年3月1日

小山15

書き出し

ヨセフは牛の頸に繋ぐ軛をこしらえていた。すると、傍の寝床の中で眠っていた息子のイエスが目をさまして、泣声をたてた。この寝床は、イエスがベツレヘムの馬小屋で生れたときに寝床の代りをした馬槽に模って、ヨセフがこしらえたものであった。ヨセフは手にしていた鋸を置いて、寝床のうえに屈んで、息子の顔を覗いた。イエスは父親の顔を認めて、泣きやんだ。ヨセフがあやすと、イエスは可愛い靨を顔に刻んで笑った。口もとが綻

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