にんげんひょう
初出:「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1934(昭和9)年1~2月、5月~1935(昭和10)年5月
書き出し
猫属の舌神谷芳雄はまだ大学を出たばかりの会社員であった。しかも父親が重役を勤めている商事会社の調査課員で、これというきまった仕事もない暢気な身の上であったから、飲み覚えた酒の味、その酒を運んでくれる美しい人の魅力が忘れがたくて、つい足しげくその家へ、京橋に近いとある裏通りの、アフロディテというカフェへ通よいつづけたのも、決して無理ではなかった。しかし、もし彼がもっと別のカフェを選ぶか、そこのウエー…
フェイスレスさんの感想
数ある江戸川乱歩の作品のなかでも五本の指に入る程好きな作品 いつも飄々として「全て知ってるぞ」とでも言いたげな明智がここまで狼狽する作品は確かなかったと思う