青空文庫

「かなしみ」の感想

かなしみ

かなしみ

高見7

書き出し

赤羽の方へ話をしに行つた日は白つぽい春の埃が中空に舞ひ漂つてゐる日であつたが、その帰りに省線電車の長い席のいちばん端に私が腰掛けて向うの窓のそとのチカチカ光る空気にぼんやり眼をやつてゐるといふと、上中里か田端だつたかで、幼な子を背負つたひとりの若い女が入つてきて手には更に滅法ふくらんだ風呂敷をさげてをつた。そこで席を譲つた私であつたが、このごろ幼な子となるとこの私としたことが、きまつておのが細頸を

2020/09/03

19双之川喜41さんの感想

 乳児を連れた家族は  車中でよく見かける風景であるけど 高見の目を通して見ると どの様に表現されるかという話である。 乳呑み子が母親の着物の襟をしゃぶる場面 のけぞる場面  他の乗客に興味を持つところ そして赤ん坊が泣いても関心を示さない 若い夫の様子を 実に巧みに描写していると感じた。

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