にほんふどうき
松の花
まつのはな
初出:「婦人倶楽部」大日本雄辯會講談社、1942(昭和17)年6月
書き出し
一北向きの小窓のしたに机をすえて「松の花」という稿本に朱を入れていた佐野藤右衛門は、つかれをおぼえたとみえてふと朱筆をおき、めがねをはずして、両方の指でしずかに眼をさすりながら、庭のほうを見やった。窓のそとにはたくましい孟宗竹が十四五本、二三、四五とほどよくあい離れて、こまかな葉のみっしりとかさなった枝を、澄んだ朝の空気のなかにおもたげに垂れている。藤右衛門はつやつやとした竹の肌に眼をやりながら、…
12f0e00299c2さんの感想
自然に涙がこぼれてしまった作品ですね。山本周五郎作品は何度読み返しても新たな発見を楽しめますね。