つきのまつやま
初出:「キング」大日本雄辯會講談社、1954(昭和29)年8月号
書き出し
一宗城孝也は足袋をはきながら、促すように医者のほうを見た。花崗道円は浮かない顔つきで、ひどく念いりに手指を拭き、それから莨盆をひきよせて、いっぷくつけた。「やはりそうですか」と孝也が訊いた。道円は聞えなかったように、じっと、煙管からたち昇る煙を見まもっていた。唇の厚い、眉毛の太い、酒焼けで赭くなった艶のいい顔が、とつぜん老人にでもなったように、暗く皺立ってみえた。「間違いありません」と道円は云った…
ba5194e78df6さんの感想
悲しく、心打つ展開感無量
阿波のケンさんさんの感想
涙なくしては読めない。愛の極みだな。