青空文庫

「木馬は廻る」の感想

木馬は廻る

もくばはまわる

初出:「探偵趣味」探偵趣味の会、1926(大正15)年10月号

書き出し

「ここはお国を何百里、離れて遠き満洲の……」ガラガラ、ゴットン、ガラガラ、ゴットン、廻転木馬は廻るのだ。今年五十幾歳の格二郎は、好きからなったラッパ吹きで、昔はそれでも、郷里の町の活動館の花形音楽師だったのが、やがてはやり出した管絃楽というものに、けおされて、「ここはお国」や「風と波と」では、一向雇い手がなく、遂には披露目やの、徒歩楽隊となり下って、十幾年の長の年月を荒い浮世の波風に洗われながら、

2026/05/01

よしふみさんの感想

「哀愁」と言ってよい。 「人生への哀愁」と言ってよい。 人生とは、日常とは、日々とは? まるで「回転木馬に乗ったような毎日」 なのではないだろうか? 喜びも、悲しみも、苦労も、悩みも、、、 回転木馬が如く日々、「繰り返し」訪れる。 あぁ。そんな「人間の性(さが)の様な日常」を主人公だけでなく誰もが生きている。。。 時には、「もう、こんな回転木馬を降りたい」と心から叫ぶ人もいるだろう。 逃げ出したくなる「回転木馬のような人生」も多々あるだろう。 でも、人は、この「回転木馬」から終生降りることは出来ない定めなのだ。 このラッパ吹きの主人公を「滑稽」だと誰が揶揄出来ようか? その「滑稽」こそが、誰しもののの「人生」なのだから。 主人公は、つかの間だが、自分自身の「回転木馬」から降りた。 しかし、それは「盗っ人の上前をはねる」という、掟破りの方法であったのだが。 その後、、彼は再び「回転木馬」に戻らざるを得なくなる。 今度は「盗っ人となった自身自身への自戒と怯え」を伴いながらの日々に「乗車」するために。

2024/09/27

a77873d2807eさんの感想

「探偵趣味」所収だし、なんらかのミステリイかと思ったら純文学的だったので驚いた。 でも年配男のただ若い娘に寄せるねっとりとした観察、視線は乱歩らしいテイストと思った。 でも椅子に入ったり、屋根裏を散歩したりしないで、充分に自省的で常識的なのが「純文学的」と感じたのかな。 でもココにナニカが起こりさえすれば、乱歩ミステリイの始まり始まりなのかしらん

2021/03/24

ひまわりさんの感想

起承転結ガチガチの文構成の一貫した物語ではなくひとつひとつの描写から読み取れる美しくも切ない情景を感じ取ったりサラサラと読み進めていく方が良さを味わえると思う。

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