青空文庫

「続銀鼎」の感想

続銀鼎

ぞくぎんかなえ

初出:「国本 第一巻第八号」国本社、1921(大正10)年8月1日

鏡花58

書き出し

一不思議なる光景である。白河はやがて、鳴きしきる蛙の声、——其の蛙の声もさあと響く——とゝもに、さあと鳴る、流の音に分るゝ如く、汽車は恰も雨の大川をあとにして、又一息、暗い陸奥へ沈む。……真夜中に、色沢のわるい、頬の痩せた詩人が一人、目ばかり輝かして熟と視る。燈も夢を照らすやうな、朦朧とした、車室の床に、其の赤く立ち、颯と青く伏つて、湯気をふいて、ひら/\と燃えるのを凝然《

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