青空文庫

「山の宿海の宿」の感想

山の宿海の宿

やまのやどうみのやど

書き出し

海辺の旅宿は、潮の香がする。山中の旅宿は苔の香がする。裏には、貝殻や、魚籠が散乱てゐる。海に近いからであらう。庭には、枯柴や、草籠が片よせてある。山に近いからであらう。海辺の宿の女中は、必ず白粉を塗つてゐる。山の宿の女中は、必ずしも白粉をつけて居ない。前者には渡り者が多く、後者には土着の女が多い。海の宿にはなまめかしさがある。山の宿には古めかしさがある。山の宿の一泊料は、金五十銭以上を標準とし、海

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