青空文庫

「大井川奥山の話」の感想

大井川奥山の話

おおいがわおくやまのはなし

初出:「新家庭」1920(大正9)年7月

書き出し

赤石山系の二大山脈即ち白峰山脈と赤石山脈とは、其北端に位する鳳凰山塊と共に、日本南アルプスと呼ばれている。此等の山脈は北アルプスと呼ばれている飛騨山脈よりは、概して高さに於て優っているに拘らず、登山者の数は反て甚だ少ないのである。殊に赤石山脈の南半に至っては友人中村君の話によると、其地方に住んで三十年も鉄砲打をしていた唯一の案内者でさえ、尾根の上迄は登ったことがないので、始めて山の頂上に立って四方

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