青空文庫

「Sの背中」の感想

Sの背中

えすのせなか

初出:「群像」講談社、1952(昭和27)年1月

梅崎春生58

書き出し

一『猿沢佐介の背中には、きっと一つの痣がある。しかもそいつのまんなかに、縮れて黒い毛が三つ、生えているのに相違ない』いつからか、蟹江四郎は、そう思うようになっていました。思うというより、信じるといった方がいいかも知れません。思ったり信じたりするだけではなく、時には口に出して言ってみたりさえするのです。もちろん人前でではなく、こっそりとです。七五調の新体詩みたいな調子のいい文句ですから、つい口の端に

2021/06/06

19双之川喜41さんの感想

 猿蟹合戦を もじってあるのは すぐに しれてしまう。 飲み屋の女を 恋敵から 飲み代の つけを 肩代わりする代わりに 貰い受けて 結婚する。 妻の死後に 日記に記されていた 背中に痣のある男は 誰なのか 気になって 仕方がない。 全体に 独特の ユーモアに溢れており たびたび 吹き出してしまうのである。 なかでも ヘボ将棋で 相手の取り駒を こともあろうに 買い戻すのには しばし 哄笑した。

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