青空文庫

「踊る美人像」の感想

踊る美人像

おどるびじんぞう

初出:「文芸倶楽部」1930(昭和5)年6月

野村胡堂42

書き出し

不思議な手紙「兄貴、こいつは一杯食わされたらしいぜ」「叱ッ」関東新報の社会部長で、名記者と言われた千種十次郎は、好んで斯んな伝法な口をきく、部下の早坂勇——一名足の勇——をたしなめるように、霞門の方から入って来る狭い道を指しました。「あれを見ろ勇」「女だ」「しかも、若くて美しくて贅沢な女だ」「成程、こいつは面白い」二人は口から耳へ、斯う囁き交してフッと口を噤みました。日比谷公園の新音楽堂の裏手、滅

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