さくらじま
初出:「素直 創刊号」1946(昭和21)年9月
書き出し
七月初、坊津にいた。往昔、遣唐使が船出をしたところである。その小さな美しい港を見下す峠で、基地隊の基地通信に当っていた。私は、暗号員であった。毎日、崖を滑り降りて魚釣りに行ったり、山に楊梅を取りに行ったり、朝夕峠を通る坊津郵便局の女事務員と仲良くなったり、よそめにはのんびりと日を過した。電報は少なかった。日に一通か二通。無い時もあった。此のような生活をしながらも、目に見えぬ何物かが次第に輪を狭めて…
19双之川喜41さんの感想
暗号解読に従事していた梅崎は 桜島で 終戦をむかえる。 櫻島の噴煙は 戦闘によるものではないけれど 周りの自然が美しいだけに 緊迫感が 切々と胸をうつと感じた。