あきばしょから
書き出し
仕事に忙しい尾崎士郎君だが、東京場所で、蔵前国技館に、ヤグラ太鼓が鳴り響いている間の、十五日間は、完全に書斎を離れて土俵の脇で過ごさないではいられない人物である。彼が初めて相撲を見たのは、大正九年で、たまたま相撲史上の名勝負の一つに数えられる栃木山(現春日野)と朝汐(先代の高砂)との一番を見「力の調和というものが、こんなに美しいものであるかを知らなかった」といっている。無論彼は、花相撲はそれまでに…