青空文庫

「奇談クラブ〔戦後版〕」の感想

奇談クラブ〔戦後版〕

きだんクラブ〔せんごばん〕

05 代作恋文

05 だいさくこいぶみ

初出:「月刊読売」1947(昭和22)年4月

野村胡堂31

書き出し

プロローグ小説家大磯虎之助は、奇談クラブのその夜の話し手として、静かに壇上に起ちました。まだ三十を幾つも越していない筈ですが、一と頃人気の波に乗って、文壇の一角から、その同志達に号令をかけていただけに、なんとなく老成した感じの、やや旧式な美成年でした。「これは私の友人の経験した話で、決して大衆小説の筋のように、奇っ怪なものではありませんが、この少しばかりロマンティックな話の中から、人間の心の奇怪至

2019/05/30

ハルチロさんの感想

『奇談』と言えば、奇談である。しかし、心温まる結末は、この作品を読み進めていく内に、ある程度想定できる結末であった。であるから、奇談とは断じきれないようにも感じられる。 現代のように、メール、SNS等の通信媒体が活況な世界では、『恋文』を認めて送るなどは“化石”も同然の慣習かもしれない。と、するならば、恋文ーーラブレターーーの『代作』ーー代筆ーーなど、古の行為と言えよう。しかしながら、出来うる限り後世まで残っていてほしい慣習、行為である。

2016/12/27

484335a8da25さんの感想

とても良い。

2015/12/22

奥津棄戸明さんの感想

病室で自分の情欲に迷って幽里子への殺意が芽生えたという、主人公の心の動きが描かれていることで、物語が締まっている。幽里子の手紙の宛先、思慕の対象が主人公であるというのは、予想出来るものであり、後の多くはこのヒロインの美しくさ、心の清らかさ、それにのめり込んでいく、主人公の心情を書き連ねているだけなので、甘いミルキーのような文章だから 一瞬の殺意が物語を引き締める必要があったのかと思う。

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