おたか
初出:「オール讀物」文藝春秋、1936(昭和11)年2月
書き出し
一眼がしぶい、冬日の障子越しに、鵙の声はもう午近く思われる。弁馬は、寝床の上に、腹ばいになり、まだ一皮寝不足の膜を被っている頭脳を、頬杖に乗せて、生欠伸をした。顔中のあばたが動く。煙管を取って、すぱっと一ぷく燻らしながら、ゆうべ打粉を与えて措いた枕元の腰の刀を見ると、さすがに体が緊まって来た。『——あいつも、寝られなかったに違いない』弁馬はこう自嘲すると共に、すぐ明け方の夢の中から、お悦の眸と、角…
f0dee5e14b0fさんの感想
短いがいいなあ