青空文庫

「軒もる月」の感想

軒もる月

のきもるつき

初出:「毎日新聞」1895(明治28)年4月3、5日

樋口一葉19

書き出し

我が良人は今宵も歸りのおそくおはしますよ、我が子は早く睡りしに歸らせ給はゞ興なくや思さん、大路の霜に月氷りて踏む足いかに冷たからん、炬燵の火もいとよし、酒もあたゝめんばかりなるを、時は今何時にか、あれ、空に聞ゆるは上野の鐘ならん、二つ三つ四つ、八時か、否、九時になりけり、さても遲くおはします事かな、いつも九時のかねは膳の上にて聞き給ふを、それよ今宵よりは一時づゝの仕事を延ばして此子が爲の收入

2025/07/17

艚埜臚羇1941さんの感想

  題意は 軒から 漏れてくる 月である。女が 内緒の 筋の 文を 焼き 捨てて いる。焼けがらと なった 文の 残滓が 月に 向かって ゆらゆらと 舞い上がる。筋というほどの 筋が ある わけではないので おおかたの 読み手は 物足りなさに じれったいと 感じて しまうかもしれない。しかし 詩情 雰囲気が 漂い 文学の 高見を 味合わせて くれる すぐれた 作品と 感じた。

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