すもう
書き出し
一……だまつて、一人で、せッせと原稿を書いてゐた石谷さんが急に立ち上り、「一寸、ぢやァ、行つて来ます。」万年筆をいそがしく内かくしへしまひながらいつた。「どこへ?」「行つていらつしやい。」といふ代りにうッかりわたしはかういつた。……わたしはわたしの席で、用があつて来たある新聞の人と、用をすましたあとの世間ばなしをしてゐた。「角力へ……」けゞんさうに石谷さんはいつた。「あゝ。」気がついて、わたしは、…