とんぼのめだま
初出:蜻蛉の眼玉「赤い鳥 3巻3号」1919(大正8)年9月1日
書き出し
はしがき山火事焼けるな、ホウホケキヨ、可愛いい小鹿が焼け死ぬぞ。これは春の暮、夏のはじめの頃に、夕方かけて、赤い山火事の火の燃える箱根あたりの山を眺めて、この小田原の町の子供たちが昔歌つた童謡の一つだと申します。昔の子供たちはかういふ風におのづと自然そのものから教はつて、うれしいにつけ悲しいにつけ、いかにも子供は子供らしく手拍子をたたいて歌つたものでした。それが、この頃の子供たちになると、小さい時…