青空文庫

「経つくゑ」の感想

経つくゑ

きょうつくえ

初出:「甲陽新報」1892(明治25)年10月18日~25日

樋口一葉35

書き出し

※一※哀れ手向の花一枝に千年のちぎり萬年の情をつくして、誰れに操の身はひとり住、あたら美形を月花にそむけて、世は何時ぞとも知らず顏に、繰るや珠數の緒の引かれては御佛輪廻にまよひぬべし、ありしは何時の七夕の夜、なにと盟ひて比翼の鳥の片羽をうらみ、無常の風を連理の枝に憤りつ、此處閑窓のうち机上の香爐に絶えぬ烟りの主はと問へば、答へはぽろり襦袢の袖に露を置きて、言はぬ素性《すぜう

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