ほっかいのよる
初出:「白楡 第二十五号」1923(大正12)年8月
書き出し
1旗がしきりにゆれているハタハタと、又ハタハタと時には風が吹いて来てゴトンと音を立ててゆく外はほんとに暗いのだ自分よ、或る夜の事を思い出せそしてぞうっと身ぶるえせ今夜の雪は青白いすごい黒さが沁みている2海の妖婆が踊るよな暗い恐ろしい夜となる日本海と太平洋の沖の方に何か変りはないだろうか。海辺の街の病める友はこんな夜なら寂しかろう母がはなれているのさい悲しくなって来るだろう窓の近くに横たわり眠りもせ…