青空文庫

「無題 京都」の感想

無題 京都

むだい きょうと

富倉次郎に

とみくらじろうに

初出:「山繭 第四号」1925(大正14)年3月

書き出し

おまへの歯はよく切れるさうな山々の皮膚があんなに赤く夕陽で爛らされた鐃鉢を焦々して摺り合せてゐるおまへはもう暗い部屋へ帰つておくれおまへの顎が、薄明を食べてゐる橋の下で友禅染を晒すのだとかいふ黝い水が産卵を終へた蜉蝣の羽根を滲ませるおまへはもう暗い部屋へ帰つておくれ色褪せた造りもののおまへの四肢の花々で貧血の柳らを飾つてやることはないコンクリートの護岸堤は思ひのままに白けさせようおまへはもう暗い部

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