どうけとヴィナス
書き出し
何といふすばらしい日だ!広大な公園は、愛神の支配の下にある若者のやうに、太陽のぎら/\した眼の下に悶絶してゐる。なべての物にあまねき此の有頂天を示す物音とてはない。河の水さへ眠つたやうである。ここには人の世の祭とは遙かに事かはつた、静寂の大饗宴があるのだ。不断に増しつゝある光はます/\物象を輝かせてゐるやうだ。上気した花は、其の色の勢力を、空の瑠璃色と競はうとする欲望に燃えてゐる。そして熱は、香を…