青空文庫

「ルウベンスの偽画」の感想

ルウベンスの偽画

ルウベンスのぎが

初出:第一稿「山繭 第十八号」1927(昭和2)年2月1日、第二稿「創作月刊 第二巻第一号」1929(昭和4)年1月号、第三稿「作品 創刊号」1930(昭和5)年5月1日

辰雄27

書き出し

それは漆黒の自動車であつた。その自動車が輕井澤ステエシヨンの表口まで來て停まると、中から一人のドイツ人らしい娘を降した。彼はそれがあんまり美しい車だつたのでタクシイではあるまいと思つたが、娘がおりるとき何か運轉手にちらと渡すのを見たので、彼は黄いろい帽子をかぶつた娘とすれちがひながら、自動車の方へ歩いて行つた。「町へ行つてくれたまへ」彼はその自動車の中へはひつた。はひつて見ると内部は眞白だつた。そ

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