せいかぞく
初出:「改造 第十二巻第十一号」1930(昭和5)年11月
書き出し
死があたかも一つの季節を開いたかのやうだつた。死人の家への道には、自動車の混雜が次第に増加して行つた。そしてそれは、その道幅が狹いために、各々の車は動いてゐる間よりも、停止してゐる間の方が長いくらゐにまでなつてゐた。それは三月だつた。空氣はまだ冷たかつたが、もうそんなに呼吸しにくくはなかつた。いつのまにか、もの好きな群集がそれらの自動車を取り圍んで、そのなかの人達をよく見ようとしながら、硝子窓に鼻…