青空文庫

「閾」の感想

しきい

初出:「文芸日本 第一巻第三号」文芸日本社、1925(大正14)年6月1日

徳田秋声18

書き出し

その日も土井は町へ牡蠣雑炊を食べに行つた。京都へ来てから、思ひのほか日がたつてゐたので、彼はもうそろ/\帰り支度をしてゐた。六兵衛だとか、ゑり正だとか、そんな老舗へも立寄つて、少しばかりの土産物を買ひ調へてゐた。甥が西陣の織物屋を知つてゐるので、反物も少し心がけたりしてゐた。十二月も早や押し詰つて、余すところ幾日もなかつた。彼は立寄つたついでに、もつと行つて見たいところが、まだ沢山あつた。食べに行

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