にんめのにいづま
初出:「三田文學 第七卷第十一號」三田文學會、1916(大正5)年11月1日
書き出し
彼の二百五十歳の朝、人馬シエッペラアクは人馬の族の宝物の在る黄金の櫃に行って、その櫃に納められた護身符を取り出した。その護身符は彼の父ジシッヤクが盛りの年に山から採った黄金を打って作りその上に矮神と交換して得たオパルをちりばめたものであった。シエッペラアクはそれを腕に着け、一言も物いわず、母の住む洞窟を歩み出た。その時彼は人馬の族の喇叭をも持ち出した、かの有名なる銀の角笛で、むかしある時代にはその…