ゆゆしき「し」のおおきみは
初出:「家庭文芸 創刊号」1907(明治40)年1月
書き出し
忌々しき「死」の大君は慈悲の敵なり、昔より悲の母、かたくなに、言向けがたき司かな。われも心に「憂愁」の種を播かれぬ、いざさらば憂ひて已まじこの舌の君さいなみに倦みぬとも。われ今ここに君が身をつゆばかりだに慈悲無しと思ふものから、まがごとの大凶事と、君が罪鳴して責めむ。世の人も知らぬにはあらず、しかすがになほ憤り、けふよりぞ「愛」の惠に歸依すべき。いと美しき禮讓はこの塵の世を捨てたるか。をみな心の麗…