青空文庫

「きその日は」の感想

きその日は

きそのひは

初出:「家庭文芸 創刊号」1907(明治40)年1月

上田1

書き出し

きその日は思むすぼれ、とぼとぼと馬を進むる憂き旅路、これも旅かやまのあたり、路のもなかに「愛」の神、巡禮姿、しほたれて、衣手輕し。うれはしき其かんばせは、さながらに、位はがれしやらはれのやつれ姿か、憂愁の思にくれて吐息がち、人目を避けて、うなだるゝあはれの君よ。ふとしもわれを見給ひて呼び給ふやう、『われは、今、かの遠里をはなれ來ぬ。さきにはそこに汝が身の心の臟をぞ置きたれど、新の悦得させむと持ち來

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