うたよ、ねがうは
初出:「芸苑 二ノ一」1907(明治40)年1月
書き出し
「歌」よ、ねがふは「愛」の神さがし求めてかの君の前に伴ひ歌はなむ。「歌」はわが身の言別を、主はかの君を恐無く正眼に見つゝ語りなむ。禮には篤き「歌」なれば、よしそれ唯のひとりにて、げに往きぬとも、恐るべき事は無けねど、安かれと、心知ひに伴ふや「愛」の神それ後見と傍らにあるこそよけれ、かの君が「歌」の言の葉きゝ給ふその時なほも憤解けもやらぬを介添の「愛」の執成無かりせば、忽ちにして侮蔑の恥目あらむと。…