よそひとのあざむがごとく
初出:「芸苑 二ノ三」1907(明治40)年3月
書き出し
よそ人のあざむが如く、君も亦あざみ給ふか我君よ、君はた知らじ、覺りえじ、世に不思議にも俤のかくは移ろひ、變りたる深きいはれを、そは君がたへなる色を仰ぎ見し惑ひ心地ぞ。我心、君もし知らば、『憐愍』のいかで堪ふべきかうやうのつらき恥目に我心惱ましむるぞ。見よ、「愛」は君います邊、のびらかに心のどけく、廣大の無邊力をぞ安んじて振ひ行ふ。それ茲に怯え戰くわが生氣、逐ひやらはれて家も無く、あるは苦み、あるは…