ソネット
初出:「芸苑 五」1906(明治39)年5月
書き出し
絹には「時」の薫ずれど「妄執」の色褪せにたり、鏡のそとに溢れたる雲の御髮に如めやも。心急れの旗じるし道の衢にいきほへど、われはた君がねくたれを枕きてあらむ、眼もきりて。げに唇のいとせちに憧るとてもあやなしや、君戀ひわたる貴人が、丈長髮のふくだみに玉を擲つここちして「名利」の叫ふたがずば。底本:「上田敏全訳詩集」岩波文庫、岩波書店1962(昭和37)年12月16日第1刷発行2010(平成22)年4月…