青空文庫

「避病院」の感想

避病院

ひびょういん

初出:「早稲田文学 第百三十一号」早稲田文学社、1916(大正5)年10月1日

正宗白鳥16

書き出し

町村の自治制が敷かれてから間もないころであつた。私の父は選ばれて村長になつた。父の性質としてかういふ煩い役務は好まなかつたのであるが、人物に乏しい僻村では他に適當な候補者が見つからないので、據所なく選ばれ據所なく承諾したのらしかつた。名譽職だといふので、しるしだけの俸給に甘んじて、終日出勤して、五つの字の合した廣い村の面倒な事務を執つてゐた。父の一身が忙しくなつたのみならず、私の家庭に用事が多くな

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