銭形平次捕物控
ぜにがたへいじとりものひかえ
037 人形の誘惑
037 にんぎょうのゆうわく
初出:「オール讀物」文藝春秋社、1935(昭和10)年2月号
野村胡堂約36分
書き出し
一新吉は眼の前が眞つ暗になるやうな心持でした。二年越言ひ交したお駒が、お爲ごかしの切れ話を持出して、泣いて頼む新吉の未練さを嘲けるやうに、プイと材木置場を離れて、宵暗の中に消え込んで了つたのです。——父親が聽いてくれないから、末遂げて添ふ見込はない。出世前のお前さんに苦勞をさせるより、今のうちに切れた方が宜い——といふのは、十八や十九の若い娘の分別といふものでせうか。——父親の不承知は今に始まつた…
2015/06/28
b7082e3c110dさんの感想
江戸のサスペンス 人情味溢れる作品だと思った 最後の一文が、全体のバランスを整えていて、気に入った
1 / 0