青空文庫

「信姫」の感想

信姫

しんひめ

書き出し

君が家はそもいづこか。大み慈悲の御使女、——『光明』皇子のいもうと、『信』姫に懸想しぬ。はつ夏のあさぼらけ、薔薇いろ雲の花やぎ天そそり、吹く風に妙なる香をも浮ぶるや、いづこと教へよ、姫がありか。黒檀の森わけて、白檀の峰越えて、菱の葉うかべる沼にし杖すすぐ阿闇黎に問ひ、苔の花さく古井に阿伽を掬む尼に問へど、怪しみがほの答へに、『知らでや』と過ぎぬれば、脚絆ぞあだに破れ朽つる。ありか教へよ『信』姫、君

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