青空文庫

「蛇性の執念」の感想

蛇性の執念

じゃせいのしゅうねん

初出:「踊る影絵」柳香書院、1935(昭和10)年2月

大倉燁子48

書き出し

1一つの事件の解決がつくと、S夫人はまるで人間が変ったように朗かになる。それが難しい事件であればあるほど、すんだあとは上機嫌だ。「また何か変ったお話、聞かせて下さいましな」そういう時を狙っては、彼女からいろいろ面白い話を聞いた。S夫人はテーブルの上のチェリー・ブランデーの瓶をとって、美しいカット・グラスに注いで自分も呑み、私にもすすめながら云った。「上流の家庭内に起った事件というものは、よく、うや

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